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公務員の残業代ってどれだけ出るの?6割がサービス残業をしている

この記事を読めばわかること

地方公務員の残業代
地方公務員のサービス残業の実態
サービス残業が発生する理由

公務員志望の方にとって、公務員の残業代とサービス残業は気になると思います。

今ではサービス残業のイメージがある公務員ですが、実際のところどうなのでしょうか。残業はしてもいいけど、できるだけ残業代はもらいたいところ。

そこで、この記事では、「地方公務員の残業代」について、

地方公務員の残業時間
年代別の残業代
自治体別の残業代
サービス残業している人の割合
サービス残業が発生する理由

以上のことを解説していきます。

特に「地方公務員の残業時間」では、私のいた県庁の部局ごとの残業時間を紹介します。部局ごとの残業時間を紹介している記事はなかなかないのでぜひご覧ください。

なお、残業代は超過勤務手当や時間外勤務手当と言ったりしますが、この記事では残業代で統一します。

 

公務員の残業の実態

残業時間は年間で147時間

私のいた県庁の組合が出している資料に、各部局の残業手当の支給状況一覧があります。今回はそこに載っている各部局の残業時間を紹介します。

平均すると年間で147時間ひと月当たり約12時間、残業していることになります。

部局名一人当たり

年間残業時間(h)

総務部189
経営管理部125
県民部139
環境部170
保健福祉部132
産業部121
農林水産部113
土木部179
会計局112
議会事務局136
人事委員会事務局168
教育委員会180
平均147

ここで示した残業時間には、災害対応など突発的な業務で発生した残業は含まれていません。

災害時は土木部で特に残業が多くなりますが、その際の残業代はほぼ満額支給されます。

この理由ですが、残業代は予算化されており、各部局で申請してよい年間当たりの残業手当が決まられています。
しかし、災害のような不測の事態に備え、担保している残業代があります。そのため、災害時の残業代はほぼ満額支給されます。

 

年代別の残業代

私のいた県庁の平均残業時間(年間)は147時間でした。では、147時間残業した場合の残業代はいくらになるのでしょうか。

年齢残業代単価残業代(年)残業代(月)
251,636円240,492円20,041円
301,979円290,913円24,243円
352,318円340,746円28,396円
402,795円410,865円34,239円
453,120円458,640円38,220円
503,342円491,274円40,940円
553,380円496,860円41,405円

公務員の年功序列を象徴するかのように、同じ残業時間でも年代が上がるにつれて残業代が多くなることがわかります。

残業代だけでなく、地方公務員の年齢ごとの年収が知りたい方は次の記事をご覧ください。

公務員の年収
地方公務員の生涯年収
地方公務員の年齢別年収と生涯年収

続きを見る

 

都道府県、市役所、町役場、村役場別の残業代

都道府県、市役所、町役場、村役場の残業代(月額)も調べたので紹介します。

地方公務員の残業代は毎年総務省が発表している「地方公務員給与実態調査」で見ることができます。

都道府県

平均:34,819円
最大:56,883円(徳島県)
最小:22,259円(北海道)

 

政令指定都市

平均:38,889円
最大:56,921円(さいたま市)
最小:20,559円(浜松市)

 

中核市

平均:33,282円
最大:56,249円(福島市)
最小:13,603円(高崎市)

 

市役所

平均:27,252円
最大:75,646円(京都府京丹後市)
最小:1,719円(北海道赤平市)

 

町役場

平均:16,995円
最大:70,100円(北海道音更町)
最小:159円(和歌山県高野町)

 

村役場

平均:10,894円
最大:53,915円(東京都小笠原村)
最小:83円(大分県姫島村)

平均値なので何とも言えませんが、人口が多い自治体ほど残業代が多くなる傾向です。

 

サービス残業をしている職員は6割

次に労働組合による残業代の支給実態に関するアンケート調査の結果を示します。

実際に残業した分のうち、残業代がどのくらい支給されるのかがわかります。

残業代の支給割合

このように概ね残業代が支給されている人は42%
7割支給されている人は31%
5割支給されている人は20%
3割しか支給されていない人は8%
でした。

年齢が上がるにつれて概ね支給されている人の割合が上がっています。

 

サービス残業の実態から見る本当の残業時間

アンケート結果から、残業代は満額支給されていないことがわかりました。ここでは残業代の支給率から実際の残業時間を計算してみます。

「残業時間は年間で147時間分」で各部署の残業時間を示しましたが、これは残業代が支給された時間です。よって、サービス残業した時間は含まれていません。

残業代の支給率が3、5、7割だった時の各部署の残業時間は次のようになります。

部局名一人当たり支給率
年間残業時間3割5割7割
総務部189630378270
経営管理部125417250179
県民部139463278199
環境部170567340243
保健福祉部132440264189
産業部121403242173
農林水産部113377226161
土木部179597358256
会計局112373224160
議会事務局136453272194
人事委員会事務局168560336240
教育委員会180600360257
平均147490294210

残業代が5割しか支給されていないとしたら、実際の残業時間は年間で294時間、月あたり約25時間です。

月25時間の残業は1日当たり1時間15分残業している計算です。公務員の定時は17時15分なので、18時半頃帰っていることになります。

もちろん部署や時期によりますが、個人的には平均するともう少し遅くまで残っている職員が多いと思います。
アンケートは匿名なので、5割しか支給されてない人が7割支給されていると回答することはないです。よって、自分のサービス残業の実態をよく把握していない職員が多く、サービス残業の実態が現状より少ない結果となったと思われます。

私も8割くらい残業代が支給されていると思って計算したところ、6割しか支給されていませんでした。

なお、ここでは部局ごとの残業時間を示しましたが、同じ部局でも課が違うと残業時間は異なります。

課ごとの残業時間が知りたい方は次の記事をご覧ください。私がいた市役所の忙しい課をランキング形式で紹介しています。

市役所の残業時間
市役所残業
「市役所に残業がない」はずがない。月100時間超えの部署あり。

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サービス残業が発生する理由

私のいた県庁では6割の人がサービス残業をしていることがわかりました。

ここではサービス残業が発生する理由を3つ紹介します。

 予算がないから

サービス残業が発生する理由の1つは、残業代としての予算が不足しているからです。

各課は予算作成時に「うちの課はこのくらい残業代が必要です」と次年度に必要な残業代を財政課に申請します。各課は財政課が認めた分だけ残業代としての予算が付きます。

しかし、毎年どの課でも「職員がミスをした」「急に事業をやる必要が出てきた」など予想していなかった業務が発生します。

この不測の事態に対応した時の残業代は当然加味していないので、いくら残業しても当初決まっている残業代しか出ません。

公務員は不測の事態が発生することも多いため、サービス残業が発生します。

ちなみに私が申請できた年間残業時間は直近3年で、175時間分、150時間分、135時間と年々減少していきました。

 

 申請期限が当月の28日までだから

これは私のいた県庁だけかもしれませんが、残業代の申請期限が当月の28日頃まででした。

3月を例にすると、残業代を申請できるのは1~27日分までで、28~31日の4日分は残業代が申請できませんでした。

 

 ノー残業デーは残業代が申請できないから

私のいた県庁では水曜日がノー残業でした。水曜日は他の日に比べて早く帰る職員が多かったですが、それでも多くの職員が残業をしていまいた。

ノー残業デーに残業した分は他の日に申請できないため、その日残業した分はサービス残業です。

申請期限の問題と合わせると、ひと月に8日間残業申請ができない日があることになります

 

公務員の残業代の計算方法

最後に残業代の計算方法を紹介します。

残業代=時給×支給割合

時給は、①(給料の月額+諸手当)×12÷②年間の勤務時間です。

① (給料の月額+諸手当)×12

基本給に地域手当を足して、12をかけます。

※厳密に言えば地域手当のほかに、初任給調整手当、特殊勤務手当なども足しますが、これらの手当が支給されている方はほとんどいないので今回は無視しました。

 

② 年間の勤務時間

年間の勤務時間=7.75時間(1日の勤務時間)×243日(令和2年度)

ここでよくある間違いが、7.75時間×5日×52週という計算式です。
これだと土日の休みは加味していますが、祝日や年末年始休みを加味していません。

各年度の日数はKe!sanで確認できます。

①と②で求めた値に支給率をかければ残業代の単価です。

基本給20万、地域手当6千円(基本給の3%)の場合
(200,000+6,000)×12÷(7.75×243)×1.25=1,640円

基本給30万、地域手当9千円(基本給の3%)の場合
(300,000+9,000)×12÷(7.75×243)×1.25=2,462円

基本給40万、地域手当12千円(基本給の3%)の場合
(400,000+12,000)×12÷(7.75×243)×1.25=3,282円

 

 支給率は時間帯や曜日によって異なる

支給率は残業をした時間帯や曜日によって異なります。

17時15分~22時22時~5時5時~8時30分
平日1.25(1.50)1.5(1.75)1.25(1.50)
休日1.35(1.50)1.6(1.75)1.35(1.50)

※ ( )内は月の残業時間が60時間を超えた場合の支給割合

60時間を超えると支給割合が高くなりますが、月に60時間以上も残業代を付けられるのは災害の時くらいです。

また、22時以降の残業は支給率が高くなるので22時以降の残業はサービス残業か他の日に超えた時間分だけ申請することがほとんどです。

 

まとめ:地方公務員の残業時間とサービス残業

この記事では、地方公務員の残業時間とサービス残業の実態について解説してきました。

今回の記事のポイントは次の3点です。

地方公務員(県庁)の残業時間は平均147時間
6割の職員がサービス残業をしている
サービス残業が発生するのは予算がないから

地方公務員のサービス残業は問題になっています。現に私も実際の残業時間の6割ほどしか残業代を申請していませんでした。

しかし、私が実際に公務員として働いていた時に、上司や組合もサービス残業は問題視していました。

なので、今後は改善されるかもしれません。

 

 【参考】公務員を目指すなら

 

    -給料・ボーナス

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