- 憧れの公務員になったけど理想と違うから辞めたい
- みんなが公務員を辞めた理由が知りたい
- 公務員辞める時は誰にいつ言えばいいの?
公務員の離職率は民間に比べて低いですが、最近は若手職員の離職が目立ちます。
私は新卒で入庁した市役所を3年、その後に入庁した県庁を6年で退職しました。特に市役所は倍率23倍の試験を突破して入った憧れの市役所でした。
市役所を辞めようかなと思った時、「本当に辞めてしまっていいのかな?」と考えました。恐らくこの記事にたどり着いた方は、「公務員を辞めたいけど、せっかくなれたから辞めない方がいいのではないか」と少なからず思っているのではないでしょうか?
そこで、この記事では私が公務員(市役所と県庁)を辞めた理由を紹介します。また、実際に公務員を辞める時に必要な手続きや退職金のことも解説します。
実際に辞めた人の退職理由を知れば、あなたの公務員を辞めたい理由が他人と乖離していないか確認できます。さらに、退職時の流れを知っておけばスムーズに退職することができます。
目次
市役所を辞めた理由
私が市役所を辞めた理由は次の3つです。
- 異動が謎だった
- 住民対応が苦手だった
- 技術系の仕事がしたかった
異動が謎だった
市役所の異動は3~4年に1回あります。様々な部署を経験できることは魅力的ですが、やっと仕事を覚えた時に異動になるのが私は嫌でした。
また、市役所の異動はパズルの様なもので、一人一人の個性を引き出せる部署に配属されているとは思えませんでした。
私の義理の父も市役所勤めですが、健康増進→地区センター→広報広聴と経験したことがない部署を転々としています。30年以上働いていますが、1度も同じ部署に戻ったことはありません。
以上のことから将来、自分がどんな仕事をやっているか全くわからなくては志をもって働けないと思うようになりました。
住民対応が苦手だった
市役所には多くの方が窓口にきますので、無理難題を言ってくる方も当然います。そのような方たちの対応は精神的にきついこともありました。
さらに、怒鳴られるのも日常茶飯事だったので、「何でこんな人たちのために働くのかな?」と思うようになっていました。
また、生活保護、国民健康保険の窓口には本当にヤバい人も来ると聞いた時、「そんなところ絶対行きたいくない!」と思い、窓口が多く、住民対応も多い市役所に定年までいるのは無理と思いました。
技術系の仕事がしたかった
私は工学部でしたが、市役所には行政職で入庁しました。
市役所の同期で電気職や建築職で入っている人たちの仕事を見ましたが、公共施設の電気配線を考えたり、図面を広げて、どのようにすれば住民満足度が高い施設を作れるか、などを考える仕事をしていました。
この時、単純に「かっこいいぃぃ!!!」と思い、「せっかく工学部出たんだし技術系の仕事がしたいな~」と思うようになってきました。
以上が、市役所を辞めた理由です。
総括すると「住民対応が嫌だから、あまり住民対応がなさそうな県庁の技術職を受けよう!」と思い、市役所を辞める決心をしたということになります。
県庁を辞めた理由
私が県庁を辞めた理由は次の3つです。
- いつまでも自分のやりたいことができないと感じたから
- 人気のある部署に再任用が配置されるから
- 自分が上司になった時の姿が想像できなかったから
1つ1つ説明していきます。
いつまでも自分のやりたいことができないと感じたから
公務員に異動はつきものです。異動希望が通らないことはわかっていても、やりたいことをやりたいと思っていました。
技術職として県庁に入庁した私は研究部門でやりたいことがありました。
幸いにも最初の配属先は研究部門でしたが、3年後本庁に異動した時、「本庁に異動してきた職員はほぼ100%研究部門に戻ることはない」ことに気づいてしまいました。たまに戻る人もいますが、3年後また本庁勤務となることが多かったです。
本庁にいると人事の流れやルールがわかりますし、大抵予想通りの人事異動でした。
なので、研究部門を希望する私はこのまま県庁にいても自分のやりたいことができない(研究部門に異動できない)と思い、転職活動をスタートしました。
人気のある部署に再任用が配置されるから
県庁には技術職に人気の部署があります。私の県庁では研究センターや大学校などが人気の部署でした。
この人気部署に再任用職員が行くことが非常に多かったのです。再任用職員は希望すればほぼ100%行きたい部署に行けるためです。
そうすると必然的に正職員が人気部署に行ける確率が低くなります。私はこれがどうも納得できませんでした。
自分が上司になった時の姿が想像できなかったから
・1日の90%が調整連絡で終わる
・1~2年で異動する
・経験のない部署に配属される
「仕事は連絡調整ばかりで、経験のない部署を1~2年で渡り歩く」というのが私の上司に対する印象でした。
私が上司になった姿を想像した時、やっていける自信がありませんでした。モチベーションを保てる自信がありませんでしたし、自分が仕事をわかっていない状態で部下を指導する自信もなかったからです。
以上の3つの理由から私は県庁を辞めて、やりたい仕事をしようと思い、今の会社に転職しました。
公務員を辞めた人の退職理由
他に公務員を辞めた人の退職理由は次のような感じです。
- 家業を継ぐ
- 上司のパワハラ
- やりたいことが見つかった
- 結婚
- 地元に戻る
- 配偶者によるDV
- 精神疾患
- 親の介護に専念
- 育児に専念
●家業を継ぐ
県庁に農業職で入庁した人は家の農業を継ぐために辞めました。50歳男性で、親の体調が悪いため早めに退職して農業を継ぐ決心をしたそうです。
●人間関係
人間関係で悩んでいる人は市役所、県庁ともにいましたが、市役所の方が多かった印象です。市役所時代には、どの部署に行っても毎回休職者を出すパワハラ係長がいました。恐ろしいです。
●やりたいことが他にある
ごく稀ですが、やりたい仕事が見つかって辞めた人もいます。とは言っても、やりたい仕事があると言って辞めた人は辞めた本当の理由を言わない可能性もあるので何とも言えません。
●結婚
女性に限らず男性職員にも結婚を機に退職した同僚が何人かいました。男性職員が退職した場合、嫁さんの地元に行って、そこの自治体に転職するパターンが非常に多かったです。
●地元に戻る
大学卒業後、大学が位置する県庁や市役所に入庁した人が、地元に帰りたくなったパターンです。地元に戻りたくなった理由は、「地元に彼女がいて結婚しようと思っている」「親が要介護になった時に近くにいてあげたい」「地元の市役所で働きたい」など様々でした。
●配偶者によるDV
市役所時代、同期同士で結婚した夫婦が旦那の暴力がきっかけでどちらも退職しました。暴力とは無縁そうだった人なので驚きました。
●精神疾患
「残業が多い」「人間関係に耐えられない」「上司のパワハラ」など精神疾患が理由で辞めた人もいます。
しかし、公務員は異動があるため、上記のような理由は解消される可能性が高いです。
●親の介護に専念
この理由で辞めるのは50代の方が多かったです。50代になると早期退職扱いになり、自己都合退職よりも退職金が多くもらえることも一因です。
●育児に専念
小学校入学と同時に辞める人がいました。私の義理の母も元公務員ですが、3人目の子供が生まれたタイミングで退職しています。
私以外の退職理由はこんな感じです。辞める理由は人それぞれですが、退職代行を使っていきなりいなくなった人もいました。
辞めることを伝えた時の周りの反応
同僚
市役所の時は仲が良かった同僚に退職することを話すと「いつか辞めると思ってたよ~」と言われました。普段挨拶をするだけの間柄の人たちからは結構驚かれました。
県庁の時は「異動内示日まで口外しないように」と上司から言われていたので、県庁の異動内示日である3月20日までは同僚に全く伝えていませんでした。退職を伝えたところ、「冗談はいいよ~」「うそでしょ?」「え?マジ?」と人によって反応は違いました。
市役所と県庁どちらも公務員を辞めることを「もったいない」と言う人はおらず、羨ましがられることが多かったです。
友人
公務員でない友人に話すと「えぇぇぇぇぇ!何で!?」とかなり驚かれました。
公務員の友人(他自治体に勤める友人)に話すと「そっか。次の職場でも頑張って」と冷静な反応でした。
やはり公務員の友人は公務員が大変な職場であることを理解しているようです。
親
公務員を辞めることを伝えて1番驚かれた相手です。
やはり親世代には公務員=最強という考えが残っているのか、公務員を辞めないように説得されました。
しかし、「やりたいことがある」と説得すると最終的には納得してくれました。
転職しようと思っている方は、もしかすると親子関係が壊れることもあるので、転職先が決まる前に辞めたい旨を伝えておいた方が後々いいかもしれません。
家族
かなり勉強して県庁に入ったので、嫁に「あんなに勉強して入った県庁なのにいいの?もっとよく考えた方がいいんじゃない」と言われました。
しかし、嫁さんに県庁を辞めたいことを伝えてから、次の会社が決まるまで2年かかったので、実際に辞める時の反応は普通でした。
その間、転職活動の状況は定期的に報告していました。
転職することを渋っていた時期もありましたが、年収がアップすることを知った途端、喜んでいました。笑
公務員を辞めて後悔したこと
私自身、公務員を辞めたことは(今のところ)後悔していません。
しかし、公務員には公務員の良さがあるのは事実で、人によっては公務員を辞めて後悔するかもしれません。
公務員の良さは辞めてから気づくものです。私が実際に辞めて気づいた公務員の良さをまとめた記事がありますので、辞めて後悔したくない方はぜひ1度ご覧ください。
退職報告をする時期、相手、伝え方
すでに退職の意志を固めている方に向けて、参考までに私が退職を報告した時期、相手、伝え方について紹介します。
●市役所を退職した時
報告時期:退職する前年10月(退職日:3月31日)
報告相手:係長
●県庁を退職した時
報告時期:退職する前年9月の課長面談時(退職日:3月31日)
報告相手:課長
伝え方ですが、市役所の時は係長を人気のないところに呼び出し、「お話しがあります。実は県庁に合格しましたので市役所を退職したいです。」と伝えました。
県庁の時は転職活動をしていることを事前に伝えていたので、「〇〇から内定をもらったので退職させてください」と伝えました。
退職報告は早い方が良いですが、状況によってはそうもいかないと思います。以下の記事では退職を報告するタイミングをパターン別に紹介しています。
-
公務員を退職する時のベストな報告時期|4つのパターンで解説
続きを見る
また、ボーナスをもらってから辞めたい、できるだけ退職金を多くもらって辞めたいと思っている場合は退職のタイミングが大切です。以下の記事で詳しく解説しています。 続きを見る
公務員の1番ベストな退職日|ボーナスや退職金を多くもらう方法
公務員を退職する時の必要書類
私が県庁を退職した時に提出した書類は次のとおりです。市役所を退職する際もほぼ同じ書類でした。
退職関係書類
・退職願
・退職届
退職手当関係書類
・退職手当支給請求書
・退職所得申告書
・退職報告書
・退職手当引継申請書
共済関係
・組合員資格喪失届
・共済金支払請求書
・解約申込書
・出資金返戻請求書
・退職餞別金該当者報告書
その他
・財形貯蓄払戻請求書
必要書類は全て庶務担当者が用意してくれました。
提出書類の詳しい説明と提出時期は以下の記事で解説しています。
9年間勤務で退職金は117万円
私は市役所、県庁で通算9年勤めましたが、退職金は1,175,148円(手取り1,163,748円)でした。
送られてきた退職手当支給通知書
自分の退職金がいくらになるか気になる方は以下の記事をご覧ください。複雑な退職金の計算方法をできるだけわかりやすく紹介しています。
-
【絶対わかる!】公務員の退職金計算方法|調整額もわかりやすく解説
続きを見る
公務員から転職できるのか
公務員はスキルが身に付かないから、辞めても転職できるか不安に思っている方も多いのではないでしょうか?
結論、仕事を選ばなければいくらでも転職できます。しかし、多くの方は転職先に求める条件(年収や福利厚生)があるため、転職には時間がかかります。最悪の場合、転職できない可能性もあります。
なので、どんなに耐えられなくても転職先が決まってから辞めた方がいいです。転職活動と仕事を両立させることは大変なことですが、無職になるよりはマシです。
ちなみに私は公務員時代、以下の業界・職種からオファーをもらいました。
※ここで言うオファーとは「ぜひ1度面接を受けてみませんか?」という意味で、内定を保証するものではありません。
- 運送・物流(配送、タクシー乗務員、バス運転士)
- 建設(施工管理、コンテナ工事、解体工事)
- 住宅・不動産(営業、建設現場管理)
- 食品(品質管理、製造)
- 小売り・飲食(販売スタッフ、販売戦略、社内SE)
- 保険(営業)
- 教育(提案営業、塾講師)
- 医療・福祉・介護(事務、運営管理者)
- 自動車(電気設計、営業、整備士)
- IT・インターネット・通信(WEBライター、コンテンツ企画)
- 警備(警備員)
- 税務(税務アドバイス、提案営業)
- 鉄鋼(材料開発、社内SE、研磨スタッフ)
未経験からでも転職できる業界・職種を詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。私が公務員時代に企業側からオファーを受けた求人をまとめています。
また、転職活動の始め方がわからない方は次の記事をご覧ください。私が2年間の転職活動で得たノウハウを詰め込んでいます。
1度辞めた自治体に合格できるか
公務員を辞めて民間に行った方の中には「あ~公務員の方がよかったじゃん!戻りたいな~」と思う方もいるかと思います。
1度辞めた自治体に合格している人は私の周りにもいます。再度合格している人はできるだけ現職に迷惑をかけないように辞めています。引継ぎも丁寧に行っていますし、「もう関係なくなるからどうでもいいや!」という態度で辞めていません。
今、公務員を辞めたいと思って実際に辞める人も、公務員に戻りたいと思うこともあるかもしれないので、円満に退職することを心掛けましょう。
別の自治体に転職するのは1度辞めた自治体に戻るより簡単です。また、上級官庁に転職するのも可能です。私自身、市役所から県庁に転職しましたし、私の先輩は市役所から国税局に転職しました。
最後に
この記事では、公務員を辞めようと思った理由と辞める時に感じる不安や疑問点を解説してきました。
公務員を辞める理由は人それぞれです。1度嫌だと思っても、できる限り冷静になって本当に公務員を辞めてしまってよいか考えましょう。